太っているとたくさんの薬が必要になってくると思う人も多いのではないでしょうか。しかし肥満の人は反対に、薬の使用量や服用回数を減らすように指示されることもあります。なぜかというと、太っていると薬の成分が体の中にいつまでも残ることがあるからです。肥満とは単純に体重が多いということではなく、体脂肪が多いことが肥満になります。
薬には、水に溶けやすい性質を持った水溶性と、脂に溶けやすい性質持った脂溶性があります。脂に溶けやすい性質持った脂溶性の薬は、脂肪組織にたまりやすいので肥満の人が同じ薬の量を服用しても脂肪組織に薬が蓄積され血中濃度は下がってきます。
薬の血中濃度が下がるので薬の量もたくさん必要になってくると思うでしょうが、脂肪組織にたまった薬は徐々に血液中に放出されるので薬の効果が長い時間続くことになります。標準的なの人であれば時間とともに血中濃度は下がりますが、肥満の人は標準的な人が下がったころでも血中濃度はあまり下がりません。
医師が肥満性脂溶性の薬を使用する場合には、体脂肪を考えたうえで服用量を調整します。このように脂溶性の薬には抗不安薬のジアゼパム、催眠鎮静薬のミダゾラムなどがあります。また、水溶性の薬の中にも体脂肪が多いとたまりやすい大腸菌などに効果があるアミノグリコシド系抗生物質があります。農薬も脂肪組織にたまりやすので、中毒を起こすと長期間続くことが考えられます。
|